ベルト&バックル


RESISTANTを作る上で素材選びにはこだわった。
その中でもベルトに関してはいくつもの素材をテストした。

いくらしっかりした素材でバッグ本体を作っても、ベルトが先に解れて行ってしまっては意味がない。
既存のメッセンジャーバッグを使って、あまりにも早くベルトがダメになってがっかりした経験を持つ人も少なくないだろう。
テストの結果、ボロボロになってしまったベルト
樹脂製のカムバックルにすればベルトは長持ちするがフィット感と操作性が落ちる。
メタルバックルはその逆で操作性とホールド感は高いがベルトの寿命が短い。
リアルメッセンジャーバッグと呼ばれるバッグのほとんどがメタルバックルを採用しているのは、操作性やホールド感に優位性があり、しかもバックルが割れないタフさもあるからだろう。
しかしデメリットがない訳ではない。
メタルバックルは鉄である以上錆びてしまう。
通常のメタルバックルは鉄をプレスして作り、それにニッケルメッキがかけてある。
メッキがかけてあってもバックルの裏側は錆びやすく、バリも多い。
そのバリや錆がヤスリの様な働きをしてベルトの寿命を短くしてしまっている。
バックル全体に錆がまわっていく
そこで錆びないバックルのテストを繰り返した。
最初はニッケルメッキの上から防錆クリアー塗装を施してみたが満足のいく結果は得られなかった。次にニッケルメッキをクロームメッキに切り替えてみた。
クロームメッキはニッケルメッキよりも見た目も美しく錆にも強かった。
メッキを変えるだけでも特注品になり割高になってしまうが、耐用年数を上げるためにも特注のクロームメッキにして販売開始となった。
厚めにメッキをかけているので錆が全体にまわる事はないが、メッキののりが悪い部分は錆びてしまう。
バックルの構造から考えると、もう少ししなやかなベルト素材なら均一な面圧が得られて、もっと確かなホールド感が得られる。
当初は硬い=丈夫と考えていたがそれは間違いだった。
肝心なのは織の密度や織り方で、耐摩耗性という点では自動車のシートベルトが抜きん出ていた。

しかし、やわらかすぎてヘナヘナしてしまいバッグ本体との剛性バランスが取れない。
さらにはバックルとの噛み合わせの相性が得られず、ホールド力が全く得られない。
そこでベルトを二本重ねて縫って剛性を上げた。
このタイプはかなりホールド感が高かったので、今度は一枚のシートベルトの両端部分を更にシートベルトで包み込む様に縫い重ねた。またフィット感という点でも鎖骨付近の負担がかかる部分にもしなやかにフィットし、圧が分散しパッド付と変わらない装着感が得られた。このオリジナルベルトは剛性感もしなやかさも兼ね備えた素晴らしい物となり、バックルと合わせてRESISTANTの最大のストロングポイントとなった。
この部分を模倣した物が出回っていますがRESISTANTがオリジナルです。

キャンバス製ボディのプロトタイプ 一年近くメッセンジャーの業務に使用しても解れはなく、毛羽立つ程度
バックルは2007年10月より鉄製から真鍮製へ素材その物からオリジナルへ変更した。
そこまでやらなくてもという領域だが、高温多湿の日本の環境でタフに使いぬいて行く為には必要と判断した。
また類似品との差別化を図るためにトレードマークも刻印した。
真鍮×クロームメッキ 錆びません!